スキーテクニカルプライズ 47歳テク検合格記
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序・テクニカルプライズとは?
テクニカルプライズ…。
基礎スキーヤーなら誰しもあこがれる称号。
テクニカルプライズテストの受検者のうち、
約半数が指導員・準指導員である。
だが、その人達でもなかなか合格できない。
それゆえ、
テクニカルプライズホルダーには
尊敬と羨望の眼差しが向けられる。
毎年多くの上級者がこれを受け、
そして、辛酸を舐める。
にもかかわらず、
プライズ指向のスキーヤーは、
栄冠を掴むべく、
これにどっぷりと浸かってしまう。
テクニカルプライズテストには、
嵌まってしまったら、
抜けられなくなる、
魔法があるのだ。
*
これを読まれる方の多くは、
バッヂテストのシステムやその基準についてご存知だと思う。
そして、合格に向けて必死に情報を集め、
トレーニングに励まれている方々だと思う。
そうでなければ、このような文章を探そうとは思わないだろうから。
スキーの「プライズテスト」とは、
知っている人はよく知っているが、
知らない人には「何それ?」と言われる類のものなのだ。
しかしながら、あまり興味のない方も読んでいらっしゃるかも知れない。
そこで、簡単にテストの概要について説明したい。
スキー検定会
スキー検定会は『財団法人全日本スキー連盟』が主催・公認する。
いわゆる「SAJ」という途轍もなく巨大な組織だ。
個々の検定会は各地の支部にあたる「都道府県連盟」、
そして、その下部組織にあたる市町村や地域ごとの「地区連盟」が主管する。
ごくごく簡単に言えば、まず、スキー検定会には、
自分の実力がどの程度なのかを推し量る「バッヂテスト」と、
指導者の資格などを取得するための「資格検定」の
二種類あると思っていただきたい。
バッジテストと資格検定
「バッヂテスト」は、これに合格すると合格証の他に
色分けしたバッヂがもらえるため「バッヂテスト」と呼ばれている。
5級からスタートして→4級→3級と、この辺りまでが「中級者」と言われ、
その先の→2級→1級が「上級者」の範疇となる。
昔はこれでおしまいだったが、
その先に→テクニカルプライズ→クラウンプライズができた。
ここまでくれば「エキスパート」と呼ばれる。
バッヂテストは5~3級を端折って、2級から受検が可能である。
また、ジュニアテストは6級~1級まであり、
大人向けのバッヂテストとは別物であるが、
受検資格などで一部リンクしている。
(※現在リンクはない)@2019
「資格検定」には、「準指導員」→「指導員(正指導員)」といった指導者資格、
スキーパトロール資格、検定員資格などがあり、
いずれもバッヂテスト1級を持っていないと受検できない。
また、資格によってはA級・B級などと
段階を追って受検しなければ取得できないものもあるし、
指導者資格がなければ受検できないものもある。
システムや受検科目、合格基準など
改定されることがよくあるので、
詳しく知りたい方はSAJのホームページか、
都道府県連盟、あるいは地区連盟のホームページを参照されたい。
受検資格
「資格検定」を受検するためには、
どうしても2級→1級と合格しなくてはならない。
つまり、バッヂテスト1級は、自己の実力を測る「目安」であると同時に、
準指導員検定に必要な「受検資格」でもあるのだ。
さて、ここまで読んでお気づきになられた方もいるのではないだろうか。
逆に言えば、資格検定、とりわけ指導者資格を取得するには
1級さえ持っていればよい、ということに。
その通りなのだ。テクニカルやクラウンは、受検資格とは関係がない。
一時、合格者には
準指導員や指導員検定の一部種目が免除される「特典」があったが、
今はこれもない。
すなわち、全くの「称号」でしかないのだ。
では、なぜたくさんの人が毎年これを受検するのだろうか。
難易度が飛躍的に
テクニカルプライズは2012年現在、
五種目で採点される(僕が受検を始めた当初は六種目)。
(※現在は、
整地大回り、
整地小回り、
不整地小回り、
総合滑降の4種目)@2019
一種目100点の合計500点満点中
375点を取れば合格である。
一種目あたり75点平均となり、この得点が合否の目安になる。
バッヂテストは1級からテクニカルプライズになると
飛躍的に難しくなり、その差は激しい。
受検者の約半数は準指導員や指導員であるが、
その人達でも合格するのは難しい。
都道府県連盟によって合格者の実力にバラつきが見られるが、
北海道では合格率は10%前後である。
つまり、1級から指導員までの上級者十人に一人しか
合格できない「狭き門」なのである。
そのため、テクニカルプライズホルダーは
尊敬と羨望の眼差しで見られるのである。
テクニカルにしてそうなのだから、
クラウンプライズホルダーは、もはや「雲の上の存在」である。
*
テクニカルの受検資格は、1級保持者で十五歳以上である。
(※現在受検年齢は撤廃)@2019
受検者の年齢層は様々であるが、ある傾向が見られる。
若者パターン
ひとつは、小中学生の頃からバッヂテストを受けて1級をとり、
十六歳を過ぎてテクニカルプライズに挑戦する「若者パターン」である。
近頃はレースのジュニアクラブとは別に
基礎系のジュニアクラブが出来ている。
その先輩が技術選手権で活躍するようになり、
それを目指す子が結構居るのだ。
そのため、「ジュニア技術選」という大会も定着してきた。
スキー人口は年を追うごとに減少し続けているが、
ジュニアの技術は著しく向上している。
中年パターン
もうひとつは、若い頃にスキーをやっていて1級まで行ったけれど、
それからしばらくスキーと離れていて、
久々に再開した「中年パターン」である。
再開の理由はいろいろある。
子どもがスキーを始めてスキー場に連れて行くようになった、
本州で仕事をしていたが転勤で北海道にUターンしてきたので
スキーができるようになった、
子育てが一段落してスキーに行く余裕ができた、
体力が落ちてきたことを感じて衰える前にひと花咲かせたいと決意した、
などなど…。
勿論これに該当しない人や、
指導者資格を持っていてそろそろ、という人もいるが、
前述の二つのパターンが多いようだ。
合格が多いのは
では、どちらのパターンに合格者が多いのか?
実は圧倒的に前者が多い。
若者たちは生まれながらにカービングスキー世代であり、
カービングの理論に基づいて指導を受け、
それが体に馴染んでいる。
素直に吸収する素地がある。
それに対し、中年たちはノーマルスキーの板と技術が
体に染み付いていて、まずその修正が大変だ。
寄る年波で体が言うことを聞かないため、
一つのことをマスターするのに時間がかかってしまう。
おまけに、テクニカル検定の演技は、
パワーとスピードを要する種目と観点のものが多く、
やはり若さにはかなわない。
そんな訳で、高校生や二十代の合格者の方が多いのだ。
会場や時期によっても違うが、概ね受検者の7~8割は中年である。
…にもかかわらず、2~3割しかいない若者が、
合格者の多くを占めるのである。
すなわち、中年の合格率は、…絶望的に低い、ということになる。
テクニカル検定には、確かな技術と力強い滑りが必要だ。
しかしながら、ほとんどの中年受検者は
そのどちらかが、
あるいはその両方が物足りないのだ。
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